2019年3月23日土曜日

食べたら駄目でしょ「玉兎(たまうさぎ)」(舞踊鑑賞室)






(げ)に楽天(らくてん)が 詩(からうた)に つらねし秋の名にしおう
三五 夜中(やちゅう)新月の
中に餅つく玉兎
餅じゃござらぬ望月の 月の影勝 飛び団子

やれもそうや やれやたさてな 臼と杵とは 女夫(めおと)でござる
やれもさやれもさ 夜がな夜ひと夜(よ) おおやれ


平成22年、仙台電力ホール、歌泰会「玉兎(たまうさぎ)」


ととんが上から月夜にそこだぞ
ヤレこりゃ よいこの団子ができたぞ おおやれ やれさて
あれはさて これはさて どっこいさてな
よいと よいと よいと よいと よいとなとな
これはさのよい これはさておき

むかしむかし やつがれが 手柄を夕べの添乳(そえぢ)にも
婆食(く)た 爺やが その敵(かたき)
討つやぽんぽらぽんと腹鼓(はらつづみ)



平成22年、仙台電力ホール、歌泰会「玉兎(たまうさぎ)」


狸の近所へ 柴刈りに きゃつめも背(せ)たら大束(おおたば)
えっちり えっちり えぢ かりまた シャござんなれ
こここそと あとから火打ちでかっちかち かっちかち
かっちかち かちかちのお山といううちに
あつつ あつつ そこで火傷(やけど)のお薬と
唐辛子なんぞでみしらして 今度は猪牙船(ちょきぶね) 合点だ
こころえ狸の 土の船 おも舵とり舵ぎっちらこ

浮いた波とよ山谷(さんや)の小船(おぶね) こがれ こがれて通わんせ
こいつはおもしろ俺さまと 洒落(しゃれ)る下(した)より
ぶくぶくぶく のうのう これはも泣きっ面
よい気味しゃんと かたき討ち 
それで市が栄えた


平成22年、仙台電力ホール、歌泰会「玉兎(たまうさぎ)」


手柄話にのりがきて
お月様さえ 嫁入りになさる ヤトきなさろせ
とこせい とこせい 年はおいくつ十三 七つ
ほんにサァ お若い あの子を産んで
ヤットきなさろせ とこせいとこせい 誰に抱かせましょうぞ
お万に抱かしょ 見てもうまそな品物(しなもの)め しどもなや

風に千種(ちぐさ)の花兎(はなうさぎ) 風情ありける月見かな

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文政3年(1820)、江戸・中村座初演
清元「玉兎(たまうさぎ)」は、本名代(ほんなだい)を「玉兎月影勝(たまうさぎ つきの かげかつ)」と言い、「一谷嫩軍記(いちのたに ふたば ぐんき)」の二番目大切(おおぎり)に、七変化舞踊「月雪花名残文台(つきゆきはな なごりの ぶんだい)」のひとつとして、3代目 坂東三津五郎(1775~1831年)が演じたものです。


作詞・2代目 桜田治助(1768~1829年)
作曲・清沢万吉(初代 清元斎兵衛、生没年不詳)

七変化
長唄「浪枕月浅妻(なみまくら つきの あさづま)」→現在の「浅妻船」
清元「玉兎月影勝(たまうさぎ つきの かげかつ)
長唄・清元「狂乱雪空解(きょうらん ゆきの そらどけ)
長唄「猩々雪酔覚(しょうじょう ゆきの よいざめ)
長唄「寒行雪姿見(かんぎょう ゆきの すがたみ)」→現在の「まかしょ」
富本「女扇花文箱(おんなおうぎ はなの ふみばこ)
長唄「恋奴花供待(こいのやっこ はなの ともまち)

※「玉兎(たまうさぎ)」という踊り、はこちら




「かちかち山」という昔ばなしが、ちょっと残酷な内容です。そのため歌詞の内容をしっかり追うと「げっ!」という感じ。大人としては、面白いのですけれども。

写真は水木歌惣のもの、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2019 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved.







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