さあさあ 寄ったり見たり 吹いたり評判の、玉や玉や
商う品は 八百八町 毎日ひにちお手遊び
子供衆寄せて辻々で お目に掛値(かけね)のない代物(しろもの)を
お求めなされと たどり来る
平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」 |
今度仕出しぢゃないけれども、お子様がたのお弄(なぐさ)み
ご存知しられた玉薬、鉄砲玉とは事替わり
当たって怪我のないお土産で
曲はさまざま大玉(おおだま) 小玉(こだま)
吹き分けは、その日その日の風次第
平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」 |
まづ玉尽くしで言おうなら
たまたま来れば人の客 なぞと知らせは口真似の
こだまもいつか呼子鳥(よぶこどり)
たつきも知らぬ 肝玉(きもだま)も
しまる時には十露盤玉(そろばんだま)の
堅い親爺に輪をかけて 若い内から数珠の玉
オットとまった性根玉(しょうねだま)
しゃんと其処等(そこら)で とまらんせ
とまるついでに わざくれの 蝶々とまれをやってくりよ
平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」 |
蝶々とまれや 菜の葉にとまれ
菜の葉いやなら葭(よし)の先へとまれ
それとまった葭(よし)がいやなら木にとまれ
平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」 |
つい染め易(やす)き廓(さと)の水
もし花魁(おいらん)へ 花魁(おいらん)へと
言ったばかりで跡先(あとさき)は 恋の暗闇
辻行燈(つじあんどん)の陰で 一夜(ひとよ)は立ち明かし
格子のもとへも幾たびか 遊ばれるのは初めから
心で承知しながらも 若(も)しやと思う こけ未練
昼のかせぎも上の空 鼻の先なる頬冠(ほうかむ)り
吹けば飛ぶよな玉屋でも お屋敷さんのお窓下
犬に蹴爪(けつま)づいて オヤ馬鹿らしい
平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」 |
口説きついでにおどけ節
伊豆と相模はいよ国向かい 橋を懸きょやれ船橋を
橋の上なる六十六部が落っこちた 笈(おい)は流るる 錫杖(しゃくじょう)は沈む
なかの仏がかめ泳ぎ
坊さん忍ぶは闇がよい 月夜には頭がふらりしゃらりと
のばさ頭がぶらりしゃらりと
こちゃかまやせぬ 衣の袖の綻びも かまやせぬ
平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」 |
折も賑わう祭礼の 花車(だし)の木遣(きやり)も風につれ
オーエンヤリョー
いともかしこき御世(みよ)に住む
江戸の恵みぞ 有難き 有難き
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天保三年七月、江戸・中村座初演
4代目 中村歌右衛門(1798~1852年)が、狂言「本朝丸艫舳稲妻(ほんちょう まるともべの いなづま)」の大切(おおぎり)に踊った、四変化舞踊のひとつです。本名題を「おどけ俄煮珠取(おどけにわかしゃぼんのたまとり)」といい、名題は「しゃぼん玉売」なのですが、現在は「玉屋」という演目名で上演されます。
作詞:2代目 瀬川如皐(せがわじょこう、1739~1794年)
作曲:初代 清元斎兵衛(きよもとさいべえ、生没年不詳)
振付:2代目 藤間勘十郎(ふじまかんじゅうろう、1823~1882年)
※「玉屋」という踊り、の記事はこちら
色っぽくて男らしい、江戸の男の舞踊です。
写真は水木歌惣のもの、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2019 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved. |
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