2019年3月12日火曜日

あなたは、だあれ?清元「玉屋」(舞踊鑑賞室)








さあさあ 寄ったり見たり 吹いたり評判の、玉や玉や
商う品は 八百八町 毎日ひにちお手遊び
子供衆寄せて辻々で お目に掛値(かけね)のない代物(しろもの)
お求めなされと たどり来る




平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」





今度仕出しぢゃないけれども、お子様がたのお弄(なぐさ)
ご存知しられた玉薬、鉄砲玉とは事替わり
当たって怪我のないお土産で
曲はさまざま大玉(おおだま) 小玉(こだま)
吹き分けは、その日その日の風次第





平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」




まづ玉尽くしで言おうなら
たまたま来れば人の客 なぞと知らせは口真似の
こだまもいつか呼子鳥(よぶこどり)
たつきも知らぬ 肝玉(きもだま)
しまる時には十露盤玉(そろばんだま)
堅い親爺に輪をかけて 若い内から数珠の玉
オットとまった性根玉(しょうねだま)
しゃんと其処等(そこら)で とまらんせ
とまるついでに わざくれの 蝶々とまれをやってくりよ





平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」



蝶々とまれや 菜の葉にとまれ
菜の葉いやなら葭(よし)の先へとまれ
それとまった葭(よし)がいやなら木にとまれ




平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」




つい染め易(やす)き廓(さと)の水
もし花魁(おいらん)へ 花魁(おいらん)へと
言ったばかりで跡先(あとさき)は 恋の暗闇
辻行燈(つじあんどん)の陰で 一夜(ひとよ)は立ち明かし

格子のもとへも幾たびか 遊ばれるのは初めから
心で承知しながらも 若(も)しやと思う こけ未練
昼のかせぎも上の空 鼻の先なる頬冠(ほうかむ)
吹けば飛ぶよな玉屋でも お屋敷さんのお窓下
犬に蹴爪(けつま)づいて オヤ馬鹿らしい





平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」



口説きついでにおどけ節
伊豆と相模はいよ国向かい 橋を懸きょやれ船橋を
橋の上なる六十六部が落っこちた 笈(おい)は流るる 錫杖(しゃくじょう)は沈む
なかの仏がかめ泳ぎ
坊さん忍ぶは闇がよい 月夜には頭がふらりしゃらりと
のばさ頭がぶらりしゃらりと
こちゃかまやせぬ 衣の袖の綻びも かまやせぬ




平成28年、仙台電力ホール、歌泰会「玉屋」



折も賑わう祭礼の 花車(だし)の木遣(きやり)も風につれ
オーエンヤリョー
いともかしこき御世(みよ)に住む
江戸の恵みぞ 有難き 有難き

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天保三年七月、江戸・中村座初演
4代目 中村歌右衛門(1798~1852年)が、狂言「本朝丸艫舳稲妻(ほんちょう まるともべの いなづま)」の大切(おおぎり)に踊った、四変化舞踊のひとつです。本名題を「おどけ俄煮珠取(おどけにわかしゃぼんのたまとり)」といい、名題は「しゃぼん玉売」なのですが、現在は「玉屋」という演目名で上演されます。

作詞:2代目 瀬川如皐(せがわじょこう、1739~1794年)
作曲:初代 清元斎兵衛(きよもとさいべえ、生没年不詳)
振付:2代目 藤間勘十郎(ふじまかんじゅうろう、1823~1882年)
※「玉屋」という踊り、の記事はこちら





色っぽくて男らしい、江戸の男の舞踊です。

写真は水木歌惣のもの、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2019 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved.







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