あら不思議や 海上を見れば 西国(さいこく)にて滅びし平家の公達(きんだち)
一門の月卿(げっけい)雲霞(うんか)のごとく 浪に浮かびて見えたるぞや
(台詞)抑々(そもそも)これは桓武天皇九代(くだい)の後胤(こうえい)、平知盛幽霊なり あら珍しや 如何に義経 思いもよらぬ浦浪の
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
声を知辺(しるべ)に出舟(いでふね)の 声を知辺(しるべ)に出舟(いでふね)の
(台詞)知盛が沈みし 其のありさまに
又義経をも海に沈めんと 夕波に 浮べる 薙刀(なぎなた)とり直し
巴波の紋あたりを払ひ 潮を蹴立てて あく風を吹かけ
眼(まなこ)もくらみ 心も乱れて 前後を忘(ぼう)ずるばかりなり
其の時義経少しも騒がず 其の時義経少しも騒がず
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
打物(うちもの)ぬき持ち、現(うつつ)の人に向ふがごとく
言葉をかはして戦ひ玉へば 弁慶押し隔て
打物(うちもの)業(わざ)にて叶ふまじと
数珠さらと押(おし)もんで
東方降三世(とうほうに ごうさんぜ) 南方軍陀利夜叉(なんぽう ぐんだりやしゃ)
西方大威徳(さいほう だいいとく) 北方金剛夜叉明王(ほっぽう こんごうやしゃみょうおう)
中央大聖不動明王(ちゅうおう だいしょうふどうみょうおう)の策(さつく)にかけて祈り祈られ
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
悪霊次第に遠ざかれば 弁慶舟子に力を合せ
御舟(みふね)を漕(こぎ)のけ 汀(みぎは)に寄すれば
尚(なほ)怨霊は慕ひ来るを追払ひ
祈(いのり)退け 又曳く汐にゆられ流れ 又曳く汐にゆられ流れて
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
跡(あと)白浪とぞなりにける 跡(あと)白浪とぞなりにける
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明治18年、東京・新富座、9代目 市川団十郎(1838~1903年)らにより初演された歌舞伎舞踊の長唄「船弁慶」を、舞踊家・坂東三津之丞(1896~1966年)が舞踊劇に変えたものです。
※ 悲しみをこらえて。「静と知盛」静の段(舞踊鑑賞室)
※ 来世で会いましょう。長唄「静と知盛」という踊り(全訳)
義経主従を追いまわす、怨霊・平知盛の段をご紹介しました。
写真は水木歌惣のもの、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2019 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved. |
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