今日思い立つ旅ごろも 今日思い立つ旅ごろも
帰洛(きらく)をいつと定めぬ。
静は賜わる烏帽子(えぼし)を着け 扇をとりて立ち上がり 時の調子をとりあへず
(台詞)渡口の遊船は 風静まって出(い)ず
波濤(はとう)の謫所(たくしょ)は日晴れて見ゆ
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
(台詞)立舞うべくもあらぬ身の 袖うち振るも恥しや
春の曙 しろじろと 雪と御室(おむろ)や 地主(ぢしゅ) 初瀬(はつせ)
花の色香にひかされて 盛りを惜しむ諸人(もろひと)が
散るをいとふや 嵐山
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
花も青葉の 夏木立 茂り 鞍馬の山越えて
啼いて 北野の時鳥(ほととぎす)
糺(ただす)の森の 秋立ちて 涼しき風に乙女子(をとめご)が
手振り優しき七夕の みやこ踊(おどり)のとりなりは
その名 高尾や通天(つうてん)の 紅葉恥かし紅模様(べにもよう)
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
野辺の錦(にしき)も冬枯れて 竹も伏見の白雪に
宇治の網代(あぢろ)の川寒(かはさむ)み あさる千鳥の音も鳴きつれて
吹雪に交(まぢ)り立舞うも 朝(あした)まばゆき 朝日山影(あさひやまかげ)
平成25年、仙台電力ホール、歌泰会「静と知盛」 |
静は名残り惜しまれて 涙にむせぶ 御(おん)別れ
見る目も哀れなりけり
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※ 怨念のかたまり。「静と知盛」知盛の段(舞踊鑑賞室)
※ 来世で会いましょう。長唄「静と知盛」という踊り(全訳)
悲しみを押し殺して別れのための舞を見せる、静御前の段をご紹介しました。
写真は水木歌惣のもの、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2019 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved. |
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