2019年2月7日木曜日

吉さまを、何処へ連れてゆくの~「幻お七」(舞踊鑑賞室)




恋風に ほころびそめし 初ざくら
花の心も白雪の うきが上にも降り積みて
解けぬ ゆうべの もつれ髪



いつか人目の すき油
おもい 丈長(たけなが) むすび目も
しどけなり振り かの人を
(しの)ぶ押絵の 羽子板に
いとしらしさの 片えくぼ
そっと突いて 品遣(しなや)り羽子も
二つ三つ四つ いつの日に




遭わりようものぞ 遭いたさに
無理を湯島の神さんへ
梅も絶ちましょ 白桃に
妹背(いもせ)わりなき 夫婦雛(みょうとびな)
あやかりたさの振袖に 
(た)が空焚(そらだき)の移り香や
あるか無しかのとげさえも ふるう手先に 抜きかねる


寂漠(しじま)がえんの はしわたし
のぼりて嬉し 恋の山

「おお さっても見事な嫁入りの」

花の姿や 伊達衣装
いろ土器(かわらけ)の 三つがさね
祝いさざめく その中に
うちの子飼いの太郎松(たろまつ)
ませた調子の 小唄ぶし


誰に見しょとて 五百機(いおはた)織りやる
いとしけりやこそ 五百機(いおはた)
(つま)をほらほら 吹く春風に
あらうつつなの 花吹雪
狂う胡蝶や 陽炎(かげろう)
燃ゆる思いも そのままに
今はかいなき 仇枕(あだまくら)


(お)うて戻れば 千里も一里(いちり)
遭わで戻れば 又千里 ほんにえ
夢の浮世にめぐり遭い おもい合うたるその人の
おもかげ恋し 人恋し
遭いたや見たやと 娘気(むすめぎ)

「おお お前は吉さま」

狂い乱れて降る雪に それかあらぬか面影(おもかげ)
かしこに立てば そなたへ走り
ふっと見上ぐる 櫓(やぐら)の太鼓


「あれあれ 吉さまを連れて何処へ ええ憎い恋知らず 返しゃ 戻しゃ」

打つやうつつか 幻を
(しと)う 梯子(はしご)の踏みどさえ
一足づつに 消ゆる身の
(はて)は 紅蓮(ぐれん)の氷道(こおりみち)
危うかりける 次第(しだい)なり



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昭和五年初演
清元「幻お七」の歌詞全文を紹介しました。
木村富子氏作詞(原作)。曲はふたつの作曲があり、3代目 清元梅吉(2代目 寿兵衛)作と、4代目 清元栄寿太夫作とが存在します。



趣向を変え、歌詞と踊りの流れを気軽に楽しみたい方用に、「舞踊鑑賞室」というタグを作ってみました。堅苦しい踊り説明記事ばかりでは申し訳ないと思いまして、ちょっと、ひと休憩の時間です。

写真は水木歌惣のもの、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2019 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved.







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