2018年12月19日水曜日

「元禄花見踊り」という踊り





平成30年(2018)
日本と韓国の芸術文化の交流
   ~22年間の大邱国際交流を祝して~

上記の宮城県芸術協会主催の会で、宮城県の舞踊家の方々と「元禄花見踊り」を踊りました。


◇出演者(あいうえお順)

 花柳 弥菜さん、
 花柳 優和沙さん
 藤間 寿和枝さん、
 水木 歌惣(自分)
 吉村 花照さん、
 若柳 梅京さん、



外国との交流会だったため、ちょっと華やかな演出になっています。





////// 歴史

「元禄花見踊り」は、竹柴瓢助作詞、3代目 杵屋正治郎作曲、明治11年(1878)新築落成した「新富座」開場式で発表された、新しい時代の祝祭の踊りです。


平成28年、宮城県芸術協会「日本と韓国の芸術文化の交流」

つんのめりそうな前奏と、それに続くゆったりした「♪どーんちゃちゃーん ちゃちゃつちしゃん」で、有名な曲です。古い日本映画のBGMなど頻繁に登場することから、日本舞踊や長唄に興味のない向きも、一度や二度は聞いたことがある長唄です。


上野寛永寺と、元禄時代の風俗、花見で踊る女性




////// 歌詞の内容

花盛りの上野の山で、金糸銀糸に伊達(だて)染めなど、豪華な小袖を風流に桜の枝へ掛け廻し、武士や町人、お大尽たちが花見に興じる平和なさまを描きます。


*************
鹿(か)の子絞りの六尺袖で連れ歩く岡崎女郎衆、
小袖の幕の中で踊る顔を隠した武家の侍女、
深編笠(ふかあみがさ)をかぶった侍が大杯(おお さかづき)
酒をあおれば、
向こうで供奴(ともやっこ)が踊ります。
夜ともなれば、
お方さまはハチマキに短い羽織り。
武家の男も町人にまじって踊り出し、
上野はさながら群衆で出来た山のように、
いつまでも混み合い花の盛りが続くのです。
*************


祝祭歌にすぎないので、とにかくめでたいだけで歌詞に深みはありません。明治になってからの作品ですが、元禄時代を懐かしでいるかのようです。





////// 元禄時代

元禄時代(1688~1784年)と言えば「犬公方(いぬくぼう)」と揶揄(やゆ)された五代将軍「徳川綱吉(とくがわ つなよし)」の時代です。政権の評判は良くないものの、江戸庶民はこの時代になってやっと「わらじを脱いで寝た」と言われます。いつまた戦いがおきても良いように、元禄を迎えるまで庶民は毎晩、逃げる準備をしてから夜、横になっていたのだそうです。


平成30年、宮城県芸術協会「元禄花見踊り」


元禄時代、人々はやっと平和な時代に納得し、ゆっくりお風呂にも入るようになった結果、湯屋や女郎屋が繁盛し吉原などの遊郭文化が栄えます。江戸の繁栄は、犬公方・五代将軍綱吉の時代に始まったのです。


新しい時代(明治)、新しい芝居小屋(新富座)を迎える心意気を、元禄時代の庶民の「戦争終わった!」「これから地に足をつけ、今まで以上に頑張るぞ!」という、たましいの喜びを借りて表現したのだと思います。

※なんでエロなん。「元禄花見踊り」全訳、の記事はこちら




韓国との交流のお祝いに、良い選曲だったと感じます。

踊り説明記事は水木歌惣と水木歌惣事務局の共作になります。コメントは水木歌惣、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2018 KOUDUKI Makoto All Rights Reserved.






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