2018年10月10日水曜日

国民文化祭in大分、「松島」踊ります


国民文化祭in大分「日本舞踊の祭典」(2018年11月11日)の方、
パンフレットができましたので、あらためて報告させていただきます。

かねてお知らせしたとおり、わたくし、(公社)日本舞踊協会宮城県支部として、
若柳梅京さん、
若柳かつ尋さん、と常磐津「松島」を踊ります。



////// 常磐津「松島」概略

松島という踊りは明治17年、
常磐津家元・文字太夫家と、三味線方・岸澤家の和解に際して作曲され、
河竹黙阿弥が作詞を担当した、和解記念の作品として知られます。

東北が題材とされたのは、
当時の当代・7世小文字太夫が東北の盛岡出身だったからですが、
歌詞の中で小文字太夫の後悔の念が、東北の名所とともに謳われています。

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勿来(なこそ)の関は名のみにて
   → 奥州の三関と讃えられる関所でも、いまは名ばかり。
(ふ)りし昔を信夫摺(しのぶずり)
   → あぁ、古い昔がなつかしい
文字もそぞろに名所(などころ)
   → 文字を書くのももどかしい思いで、
記す便(よすが)に里人へ
   → さとびとの言う名所をそぞろな文字でしるすのも、
利府(とふ)の菅ごも
   → 十符(縦に十段)に分かれた「利府(とふ)の菅(すが)ごも」を
七布三布
   → 七と三とに分け合って寝たという
   → あの恋歌のような日々が、なつかしくてつらいせいです。
旅寝の日さへ浅香山
   → 旅寝の日でも眠りは浅く、
(う)きを 白石 白露の
   → 憂(うれ)いを知らない白石の地に、白い朝露がかかっています。
萩の宮城野 杖曳いて
   → 萩で知られる宮城野を、杖をついて歩きながら
己が心の まにまに に
   → ただ、こころのままに歩いていると
瑞巌寺(ずいがんじ)へぞ 着きにける
   → なんとか瑞巌寺(ずいがんじ)へ着くことができました。
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常磐津「松島」の舞台写真が手元にないため、仕方なく常磐津「松の羽衣」の舞台写真を使っております。
松つながり、常磐津つながり、ということで何卒お許しください。。。
平成24年、師匠・水木 歌泰先生と競演(常磐津「松の羽衣」)

松島への旅行を思いついたは良いが、仲たがいした岸澤家への想いにとらわれ、旅を愉しむことができない旅人は、瑞巌寺へ到着し松島の海で海女と恋に堕ちます。そうして松島湾の美しい景観にこころを洗われ、岸澤家へ和解の便りをしたためるのです。

そうして、以前の記事で紹介した大団円を迎えます。
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岸の漣漪(さざなみ)うち寄りて
   → 岸澤家に戻っていただき、
昔へ還る常磐津の
   → 常磐津の家も、昔に還ることができました。
松の栄えぞ 目出度(めでた)けれ
   → 松の大木のように、常磐津が永く繁栄するのは喜ばしいことです。
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途中歌詞に登場する「利府(とふ)の菅(すが)ごも」ですが、
かつて宮城県利府(りふ)町の名産品であったコモ・ムシロのことです。

みちのくの 十符の菅薦七符には 君をねさせて われ三符にねむ(夫木和歌抄)
河竹黙阿弥はこの古い恋歌を、本歌取りしているのです。

平成24年「水木歌澄追悼 東京水木会公演」での水木歌泰先生(常磐津「松の羽衣」)



今回、宮城県 利府町に住む
わたしの師匠「水木 歌泰(みずき かやす)」先生が、「松島」を三人踊りに振り付けます。師匠ともども、よろしくお願いいたします!



※   国民文化祭in大分、出演予定のお知らせ、の記事はこちらからどうぞ
※「松島」という踊り、の記事はこちらからどうぞ
※   国民文化祭in大分、「松島」お稽古中です!、の記事はこちらからどうぞ
※   速報!国民文化祭in大分、「松島」踊ってきました! の記事はこちらからどうぞ
※   うつくしい海、うつくしい常磐津「松島」全訳 の記事はこちらからどうぞ

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2018/11/11(日)『日本舞踊の祭典』
会場 iichiko総合文化センター(大分市高砂町2-33)※エリア 出会いの場
開場 9:30(開演 10:00)
入場 無料(入場券が必要です、下記へお問い合わせください)
お問い合わせ 070-7640-1172 / 097-529-6284
アクセス 大分駅より徒歩10分(駐車場300台※有料)
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踊り説明記事は水木歌惣と水木歌惣事務局の共作になります。コメントは水木歌惣、本文は水木歌惣事務局・上月まことが書いています。コピーや配布には許諾を得ていただくよう、お願いします。Copyright ©2018 MIZUKI Kasou, KOUDUKI Makoto All Rights Reserved.





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